2015年10月

学問の秋、味覚の秋

 秋は様々な呼び名があります。中でも話題は「学問の秋」。連日の日本人のノーベル賞受賞に沸いていますね。受賞された両先生には心よりお喜び申し上げます。

 特に医学・生理学賞の大村智先生は私の母校、北里大学の教授であらせられ、直接教えを受けたことはありませんが、一卒業生として大変誇らしい思いがいたしました。

 先生が発見されたイベルメクチンは、ゴルフ場の土にいた微生物から見つかったということは、私が学生のころの学内では有名な話で、この逸話が世に周知されたことに感慨深いものがあります。イベルメクチンはアフリカなどで発生する「オンコセルカ症」という寄生虫症の特効薬となり、年間4万例の失明を防いでいるそうです。

 この薬は、動物医療の世界でも革命をもたらしました。みなさんおなじみの「犬フィラリア症」の予防薬のひとつなのです。イベルメクチンの恩恵をうけた世界中のワンちゃんの数は、ヒトのそれに匹敵するかもしれません。そしてこれからもずっと、この薬は使われてゆくでしょうから、ヒトと動物双方の医療に与えた恩恵は計り知れないといわざるを得ません。このような貢献に対して、ある方が「医学・生理学賞の枠に留まらず、ノーベル平和賞に値するのでは。」とおっしゃっていたのが印象的でした。

 これほど身近にノーベル賞を感じられたのは初めてではないでしょうか?今度みなさんのうちのワンちゃんに「ノーベル賞を取ったお薬」を飲ませる方もいると思います。その時に日本人としての誇らく感じるかもしれませんね。大村先生、本当におめでとうございました。

 ところで、秋といえば「味覚の秋」とも申します。昨日、我が家の食卓に「まつたけ御飯」がのりました。秋の味覚の王様に舌鼓を打ち、日本の基礎研究(学問)のレベルの高さに、改めて感嘆し、妙に満ち足りた気持ちになった秋の夜長でした。