2022年08月11日

無麻酔スケーリングは違法?

 

 

『ハンドスケーラー(歯石を取る道具)を用いた歯垢・歯石除去(スケーリング)は、トリマー、ペットショップ店員、動物看護師が行ってもよい処置なのか?』

 

いわゆる無麻酔スケーリングと言われている処置の事である。

この疑問に対する問いに獣医師たる我々は答えられずにいた。

 

ところが最新の獣医学専門雑誌に無麻酔スケーリングに対するレポートが掲載され、その内容が画期的だったので報告します。

 

MVM vol.31 No.204 2022/5 101~105項の中で春日秀文弁護士は

 

ハンドスケーラーの先端が刃物になっていることから、スケーリングは獣医師以外の者がこれを業務として行うことは、獣医師法に違反する』

 

とはっきりと述べている。

 

なぜか?

獣医師法では獣医師でなければ飼育動物の「診療」を業務としてはならない と定めている。

 

どういうことかというと…

獣医師ではない人が「診療」をしてはいけません。

この「診療」とは獣医学的判断、及び技術をもってするのでなければ、飼育動物に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある一切の行為のこと、とされており、

農林水産省は

「歯垢・歯石除去の際に、出血を伴う処置は、危害を及ぼすおそれのある行為として診療に該当する。単なる歯みがきはは該当しない。」との見解を示している。

 

スケーラーを使った歯垢・歯石除去を出血させずに行うのは、まず無理です。

ペットに行うスケーリングは『診療』以外の何ものでもない。

 

まとめましょう。

皆さん覚えておいてください。

 

たとえヒトの歯医者さんや歯科衛生士さんは元より、一般人やトリマーさん、ペットショップ店員はもちろん動物看護師であったとしても、その目的が治療だけではない、予防、美容を目的とする場合であっても、飼育動物に対して業務としてスケーリングを行うことは獣医師法違反となる!

と私は理解しております。

 

👨‍⚕️このような法律的な解釈も踏まえた上で ( 法律違反を問われる行為をわざわざ選ぶ方はいらっしゃらないと思いますが… )、説明を良く聞いて、やるやらないを飼主様が個々でご判断していただく材料としてブログに書かせて頂きました。