歯科症例

ワンちゃん用シーラント治療をやっています

ワンちゃんの歯みがきを行っている飼い主さんなら、上顎の奥歯で一番大きな歯(第4前臼歯)にある深い溝。ここが最も歯垢が溜まりやすく、最も歯ブラシで汚れが取りにくいとお感じになっているんじゃありませんか?

写真のような深い溝は食べかすや毛や糸くずなどが詰まり、そこに歯垢が絡むことでより取れにくくなります。溜まった歯垢はやがて歯石に変わります。歯石の表面はザラザラしているので歯ブラシで歯垢除去がよりしにくくなっていき、どんどん歯石が作られていきます。

3年以上も放置するとこんな感じ。

歯磨きがしにくい深い溝は、埋めてしまえ!

と、言うことで・・・こんな処置はいかがですか?その名もワンちゃん用シーラント

シーラントとは?人の子供の虫歯予防の方法の1つで、奥歯の嚙む面にはデコボコした細い溝がたくさんあり、溝の奥まで歯ブラシが届かないので、虫歯になりやすい構造になっています。

溝の中で虫歯菌が繁殖しないように溝をレジンなどのプラスチック樹脂で埋めてしまう処置をシーラントと呼びます。

 

ワンちゃん用シーラントの目的は虫歯予防ではなく、食べ物や歯垢が溜まりにくくして歯ブラシでのお掃除をしやすくすることにあります。これによりワンちゃんはいやーな奥歯の歯磨き時間が短縮され、飼い主さんは面倒だった奥歯の溝のブラッシングが超簡単になり、お互いのストレスが軽減されます。

よく質問されるのが、耐久性はどうなんだ、ということです。材料などは人と全く同じものを使用しますので、耐久性も同じです。人だと次第にすり減ってきて半年くらいでかなり取れてしまうこともあるようですが、ワンちゃんは噛み合うことでのすり減りがないので、数年はもつものと考えています。ただし硬いもの嚙ませたり、家具の足やゲージなどを噛む癖がある子は、欠けてしまったりするので注意が必要です。

また、経年変化で色が若干濃くなって歯の色と合わなくなることもありますが、普段見えたりする場所ではないので、それほど気にならないかも知れません。

シーラント治療は全身麻酔下で行うため、通常デンタルクリーニングと同時に処置します。また、左右両方の歯をいっぺんに行いますが、時間はそれほど掛かりません。

①歯のクリーニングを行い汚れをおとします。

②歯にシーラントを接着させるための薬をつけます。

③シーラント剤を歯の溝に流し込み光を当てて固めます。その後表面が滑らかになるように磨いて処置が終了します。

処置が終わったあとはこんな感じ。歯みがきがしやすそうですよね。

上顎の第4前臼歯の溝がなくなることで歯みがきが格段に楽になること請け合いです。

この処置、お勧めです。

 

 

 

 

 

 

 

破折歯を抜歯しました

左上顎の第4前臼歯の典型的な平板破折。

ワンちゃんが硬い物を噛んで歯を割ってしまう場合、大抵この歯です。このように平たい板のような形にわれることから、平板破折と呼ばれます。

この子は露髄(歯の神経が見えてしまうこと)してしまっていたので、放っておくことは出来ません。治療は歯内療法(神経を取って詰め物をする)をして歯を残すか、抜いてしまうかのどちらかになります。

飼い主さんは抜歯を選択されたため、当院で手術する事になりました。

歯肉の剥離をして 

歯をドリルで割ります 

エレベーターで根っこを動揺させて抜きます 

抜歯処置では抜く前と抜いた後で、必ずレントゲンを撮って、根っこが残っていないか確認することが重要になります。

遠心根が折れた😭

取り残しが無いことを確認😅

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縫合して終了 

ワンちゃんのおもちゃにしろ、硬いガムの類や鹿の角にしろ、牛の蹄にアキレス腱などにしろ、愛犬が喜ぶからと購入される人がまだまだいらっしゃいます。

ワンちゃんにコレを噛ませたら歯が割れてしまうかも知れないと想像するようにして下さい。仕方がないとは言え、まだまだ使えただろう歯を抜くのは、実にもったいないと思うのです。

埋伏歯の抜歯をしました

下顎の第一前臼歯が生えていないワンちゃんは少なくありません。この場合、歯が無いのか、抜けてしまったのか、または歯茎の下に埋まっているのか口の中を見ただけでは分かりません。

歯茎に埋まった歯を埋伏歯と言い、見つけるには歯科用レントゲン検査が必要です。

 

埋伏歯が見つかってしまったらこのタイミングで抜いておきましょう。埋伏歯の約4割が嚢胞を作って顎の骨が溶けてしまうかも知れないからです。

 

「ここの歯が無いですね」とキチンと言ってくれて、歯科用レントゲンを撮ってもらえる獣医さんで、歯科処置を受けてくださいね。