院長ブログ

足腰の衰えから愛犬・愛猫の老化が進行する?


足腰の衰えから

愛犬・愛猫の老化が進行する?

 

  「ロコモーティブシンドローム

    通称「ロコモ

 聞きなれない言葉ですが、ご存じでしょうか。

【ロコモーティブシンドローム】

骨や関節、筋肉や神経などで構成される運動器に何らかの障害をもたらす総称

 

原因

・膝蓋骨脱臼や股異形成など先天的な病気

・変形性脊椎症や関節炎や椎間板ヘルニアなど様々

最も多いのが老化によるもの

 

獣医療の発達と食生活の向上に伴い、

犬猫の寿命は延びる一方で老化による運動器障害も確実に増えてきています

 

 どこかが痛いのでは?

と感じ取ってあげる事が大事。

その症状

年のせいだけにしていませんか。

 

【実際に変形性脊椎症のあるワンちゃんが動物病院に来る割合】

   たったの7.6%

   というデータもあり、

 家族の方に気付かれにくく、

 単に”年のせい“にされがちです。

 

この結果、長く放置され、

重度に悪化したケースも多く経験します。

 

「心」「体」「行動」は連動している

 

【昼間寝てばかりいる】

 体が思うように動かなかったり痛みがあると、脳(心)はストレスを感じて、そこから不眠になるようです。夜間の不眠を補おうと、昼間に寝る時間が増えます。

 

【最終的には寿命を短くする】

昼夜逆転のように生活リズムの変化(行動)は、自律神経やホルモン(体)の乱れを引き起こし、ついには脳(心)に影響を及ぼして

認知機能不全を進行させると言われており、

最終的には寿命を短くするというデータもあります。

(平均3.5歳の寿命短縮)

 

【早期発見がロコモを防ぐカギ】

 1つでも当てはまるとロコモの可能性があります

 

●ロコモチェックワンちゃん用

 

⬜︎ 散歩の途中で家に帰りたがるようになった

⬜︎ 歩く速度がゆっくりになり、あまり走らなくなった

⬜︎ 階段や段差の上り下りを嫌うようになったり、その際の動作がゆっくりになった

⬜︎ きれいなオスワリやフセの姿勢が取れなくなってきた

⬜︎ シッポを振らない、または下げていることが多くなった

⬜︎ 疲れやすくなった

⬜︎ 物への執着心や好奇心が薄れてきた

⬜︎ 立ったり座ったりに時間がかかる

⬜︎ ケンケンしながら、または足を引きずるように歩く

⬜︎ 寝ている時間が長くなった、もしくは短くなった

⬜︎ 下半身の筋肉が落ちてお尻が小さくなってきた

⬜︎ 頭と腰が下がり、背中がまるまってきた

⬜︎ (横から見て)後ろ足のつく位置が前方になっている

 

●ロコモチェックネコちゃん用

⬜︎ ジャンプをしない

⬜︎ 高い所から降りられなくなった

⬜︎ じゃれなくなった

⬜︎ 爪研ぎをしなくなった(爪が太く伸びている)

⬜︎ グルーミング(体をなめる)の頻度が減

⬜︎ 気性が荒くなった

⬜︎ トイレに入るのが大変になった(粗そうをすることが多くなった)

⬜︎ 隠れたり、警戒したり、逃げるようになった

⬜︎ 体をさわると嫌がったり、うなるようになった

⬜︎ 毛並みが悪くなった

⬜︎ 寝てばかりいる

⬜︎ 筋肉が落ちてお尻が小さくなった

 

 【ロコモ検診で早めの対策とケアを】

 ロコモ検診の進め方

( 検診目安時間1.5~2時間)


① ご来院(要予約)

② 飼い主様への問診(お預り)

③ 視診

④ 歩様検査

⑤ 触診(筋肉量や関節可動域)

⑥ 整形外科学的検査(痛みの評価)

⑦ 画像検査(レントゲン検査)

⑧ ご説明(お迎え)

 

【ロコモ検診のススメ】

うちの子がいつまでも歩ける体を作る!

うちの子の健康寿命を延ばす!

早期にロコモ検診やロコモケアを始めることが大切です。

ぜひ、ロコモ検診を健康管理にお役立て下さい。

無麻酔スケーリングは違法?

 

 

『ハンドスケーラー(歯石を取る道具)を用いた歯垢・歯石除去(スケーリング)は、トリマー、ペットショップ店員、動物看護師が行ってもよい処置なのか?』

 

いわゆる無麻酔スケーリングと言われている処置の事である。

この疑問に対する問いに獣医師たる我々は答えられずにいた。

 

ところが最新の獣医学専門雑誌に無麻酔スケーリングに対するレポートが掲載され、その内容が画期的だったので報告します。

 

MVM vol.31 No.204 2022/5 101~105項の中で春日秀文弁護士は

 

ハンドスケーラーの先端が刃物になっていることから、スケーリングは獣医師以外の者がこれを業務として行うことは、獣医師法に違反する』

 

とはっきりと述べている。

 

なぜか?

獣医師法では獣医師でなければ飼育動物の「診療」を業務としてはならない と定めている。

 

どういうことかというと…

獣医師ではない人が「診療」をしてはいけません。

この「診療」とは獣医学的判断、及び技術をもってするのでなければ、飼育動物に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある一切の行為のこと、とされており、

農林水産省は

「歯垢・歯石除去の際に、出血を伴う処置は、危害を及ぼすおそれのある行為として診療に該当する。単なる歯みがきはは該当しない。」との見解を示している。

 

スケーラーを使った歯垢・歯石除去を出血させずに行うのは、まず無理です。

ペットに行うスケーリングは『診療』以外の何ものでもない。

 

まとめましょう。

皆さん覚えておいてください。

 

たとえヒトの歯医者さんや歯科衛生士さんは元より、一般人やトリマーさん、ペットショップ店員はもちろん動物看護師であったとしても、その目的が治療だけではない、予防、美容を目的とする場合であっても、飼育動物に対して業務としてスケーリングを行うことは獣医師法違反となる!

と私は理解しております。

 

👨‍⚕️このような法律的な解釈も踏まえた上で ( 法律違反を問われる行為をわざわざ選ぶ方はいらっしゃらないと思いますが… )、説明を良く聞いて、やるやらないを飼主様が個々でご判断していただく材料としてブログに書かせて頂きました。